北京仲裁委員会仲裁人任命管理規程

 

 


(2006年8月14日第四期北京仲裁委員会第五回会議にて改正され、
2006年9月1日施行)

 第一条

  仲裁事件処理の質を高め、識見の高い品行方正な専門人材に仲裁人を担当させるため、本弁法を制定する。

 第二条

  北京仲裁委員会(以下「本会」という)の仲裁人は、『中華人民共和国仲裁法』(以下『仲裁法』という)第十三条規定の条件に適合するとともに、以下に掲げる条件を満たさなければならない。
  (一)『北京仲裁委員会仲裁規則』(以下『仲裁規則』という)、『北京仲裁委員会仲裁人規則』(以下『仲裁人規則』という)、『北京仲裁委員会による仲裁の効率を高めることに関する若干規定』(以下『若干規定』という)及び本弁法の関連規定を遵守すること。
  (二)誠実で信用に足り、真剣かつ勤勉であり、効率を重視していること。
  (三)本弁法の第三条に規定する学歴、資格及び職歴、知識、経験を有し、かつ『仲裁法』、『仲裁規則』、仲裁手続き、証拠規則及び仲裁実務などを熟知していること。
  (四) 充分な明晰な洞察力・判断力、学習能力及び優れた言語表現能力を持ち、開廷審理、判断の作成を行うことができ、事件処理の効果がよいであること。
  (五)健康で、精神力体力ともに充実しており、仲裁に従事できる相応の時間があること。
  (六)66歳未満であること。首席仲裁人或いは単独仲裁人を歴任し、経験豊富であり、事件を効果的に処理できる、又は本会の業務において必要とされる特殊な専門人材であれば、適当に年齢の制限を緩和しても良い。但し原則として75歳を上回らないこと。

 第三条

  異なる職業、専門分野の仲裁人は以下に掲げる条件を満たさなければならない。
 (一) 法学教育及び研究に従事する者
  1、 教授又は研究員の高級職称を有する、又は副教授、副研究員の高級職称を有し、かつ博士の学位を取得、事件を処理する能力が高く、経験豊富である。
  2、 直接に民法商法領域の教育又は研究に従事する。
  3、 仲裁或いは訴訟事件を扱ったことがあり、相応の処理経験を有する。
 (二) 弁護士
  1、 法学専攻の修士修了又はそれ以上の学歴を有する、又は法学専攻の大学卒業の学歴を有し、かつ首席仲裁人又は単独仲裁人を歴任し、事件を処理する能力が高い。
  2、 訴訟又は仲裁業務に従事している、又はかつて従事したことがあり、事件処理の経験が豊富である。
  3、 弁護士界において、比較的高いレベルの専門知識と能力を有し、かつ評判がよく、如何なる紀律違反行為又は不評もない。
  4、 首席仲裁人又は単独仲裁人の任に堪え得る。
 (三) 経済貿易に従事する者
  1、 大学卒業或いは大学卒業以上の学歴を有する。
  2、 専門分野においての高級職称を有する、又は副高級職称を有し、かつ修士以上の学歴を有する。又は処級又は処級以上の専門技術指導職を担当する。又は副処級専門技術指導職を担当し、比較的高いレベルの専門技術を有する。
  3、 経済貿易又は専門技術に従事することが8年間に達し、関連の法律知識があり、豊富な経験を有する。

 (四) 離職裁判官
  1、 法学専攻の大学卒業又は大学卒業以上の学歴を有する。
  2、 長期的に民事、経済裁判又は研究に従事したことがある。
  3、 評判がよく、業務能力のレベルが高く、事件を処理する能力が高く、裁判長、副法廷長又はそれ以上の職務を担当したことがあるベテラン裁判官である。

  4、 定年或いは裁判業務を離職して二年間未満である、又は定年或いは裁判業務を離れてからも教育或いはその他の法律関係の仕事に従事している。
 (五) その他の法律関係の従業者
  1、 法学専攻の大学卒業或いは大学卒業以上の学歴を有する、又は法律の専門学校の学歴を有するが、統一司法試験に合格し弁護士資格を有している。
  2、 専門分野においての高級職称を有する、又は処級或いは処級以上の立法・法律の執行・法律関係仕事の指導職にある、又は副処級の職務を担当、仲裁、訴訟事件を多数処理し、事件を処理する能力が高い。
  3、 立法・法律の執行又は法律関係の仕事に従事することが8年間に達し、豊富な経験を有する。
  香港、マカオ、台湾及び外国籍の者は以上の条件を満たすほか、豊富な仲裁実践経験、かつ事件を処理するに相応な時間及び体力と精神力を有さなければならない。

 第四条

  本会は定期的に業務の発展と紛争の種類によって異なる職業と専門分野の仲裁人が占める比例を確定し、その比例によって本弁法が規定した条件に適合仲裁人を任用する。もし、ある職業、専門分野の仲裁人の数がその比例を超える場合、本会はその職業、専門分野の仲裁人を任用しない。本会の業務において必要とされる場合は除く。ある職業、専門分野の申請者が多すぎてその比例によって確定した数を超える場合、仲裁委員会の委員が不記名の方式で仲裁人を任用する。

 第五条

  本会仲裁人の担当を申請する際には、『北京仲裁委員会仲裁人申請表』(以下「申請表」という)に記入し、本弁法第二条、第三条の関連証明資料を提供し、かつ提供する情報が真実、正確であることを保証する。
  本会弁公室(以下「弁公室」という)が申請資料の第一次審査を行い、委員会会議にて報告し、検討する。
  本会が任用を決定した場合、申請者に任用状を発行し、ならびに仲裁人名簿に名前を記載し、インターネット検索システムにその専門の背景情報を入力する。

 第六条

  仲裁人が任用期間にあるとき、連絡方法、連絡先及び仲裁人名簿・インターネット検索システムに入力した情報に変更があった場合、又は半年間或いは半年間以上当地を離れて事件を担当できない場合、速やかに本会に通知しなければならない。職務又は健康上の理由で長期間事件を担当できない場合、仲裁人の離職を申し出ることができる。その場合本会は仲裁人名簿の中より削除する。

 第七条

  仲裁人の任期は一般的には三年とし、本会の一委員会任期の終了にともない任期も終了する。委員会任期内に任用された仲裁人の任期は、任用日から当該委員会任期終了日までとする。委員会が改選された後、改選された委員会が改めて仲裁人を任用する。新委員会は仲裁人の任期内における職責の履行状況、本人の希望及び業務上の需要に応じて、引き続き任用するか否かを決める。

 第八条

  弁公室は本弁法に基づき、仲裁人の事件処理状況について考察し、その考察結果を仲裁委員会に報告する。
  仲裁人に『仲裁人規則』及び本弁法で規定した解任される状況に該当する場合、本会紀律委員会より解任意見書を提出し、委員会会議にて審査、認可する。

 第九条

  仲裁人が任期内に『仲裁人規則』と本弁法の公正、独立に関する規定を違反して解任しなげれはならない状況があるという疑いを生じらせが、もっと事実を調べる必要がある場合は紀律委員会が調査する。紀律委員会は当該仲裁人にその事実に関して説明し、且つ証拠を提供することを要求する権利がある。

  紀律委員会が調査する間、当該仲裁人は仲裁人名簿に記載しない。期間は新しい名簿を発送した日から一年を過ぎない。紀律委員会が調査して疑いを排除した場合、当該仲裁人を名簿に記載する。期間が満了しても疑いが排除できない場合は、続けて名簿に記録しない。調査の結果、疑っていた事実が成立した場合、本会が解任する。
  名簿に記載しない間、当該仲裁人は当事者の選任を受けることができないし、本会の主任も指定しない。審理中の事件は<北京仲裁委員会章程>の第十八条第四項の規定を適用する。

 第十条

  仲裁人は『仲裁規則』、『仲裁人規則』、仲裁実務と関連する研修及び必要な検査に参加しなければならない。参加しなかった場合、本会の主任は当該仲裁人を仲裁事件処理に指名しない。

 第十一条

  以下に掲げる行為の一つがある場合、誠実信用義務に違反する行為と見なす。
  (一)『仲裁人規則』及び『若干規定』の第三条規定に違反し、当事者の選任又は主任の指名を引き受けたとき。
  (二)『仲裁人規則』に従い、開示義務を履行しないとき。
  (三)本弁法及び『仲裁人規則』の実施後、本会の仲裁事件を引き続き代理したとき。但し、本弁法及び『仲裁人規則』の実施前にすでに代理している場合を除く。
  (四)秘密保持義務に違反したとき。

 第十二条

  以下に掲げる行為の一つがある場合、勤勉義務に違反する行為と見なす。
  (一)開廷審理及び仲裁廷合議の時に、遅刻、早退、又は正当な理由なく欠席したとき。
  (二)開廷審理時、携帯電話、ポケットベルを調べる又は使用し、勝手に仲裁廷を出入りする、又は開廷審理と関係のない事を行ったとき。
  (三)事件記録を閲覧しない又は真剣に閲覧せず、事件状況を検討せず、意見を述べず、仲裁判断を真剣に審査しないとき。
  (四)『若干規定』に違反して、事件の審理期間を延長させることが審理期限より2ヶ月間に達し、又は審理期間を延長させる事件が2件に達したとき。
  (五)『若干規定』に違反して、仲裁廷の開廷審理、仲裁廷合議、判断作成等審理活動を変更、遅延させることが三回に及ぶ、或いは遅延期間が累計で30日に達したとき。
  (六)事件処理に充てる時間を設けること、又は開廷記録、合議記録、資料リストにサインすることを拒否したとき。
  (七)『若干規定』の第九条規定に違反して、判断作成の書面意見を提出しないとき。
  (八)判断作成の職責を仲裁廷以外の者に委託したとき。
  (九)その他の『仲裁人規則』及び『若干規定』に違反して、仲裁人の職責を真剣に履行しないとき。

 第十三条

  以下に掲げる状況の一つがある場合、事件処理能力を備えていないものと見なす。
  (一)『仲裁法』、『仲裁規則』、証拠規則及び仲裁実務に熟知していないとき。
  (二)事件の処理に必要な法律或いはその他の専門知識、経験などを備えていないとき。
  (三)開廷審理能力に欠けており、考えの筋道が明確でない又は表現能力に欠け、仲裁手続を順調に進めることができないとき。
  (四)事件証拠、事実を認定する分析判断能力が欠けているとき。

   (五)本会の要求に従い、判断作成できない、又は判断作成の書面意見を提出できないとき。

 第十四条

  仲裁人に以下に掲げる状況の一つがある場合、本会は任用を更新しない。
 (一)本弁法の第九条第一款に列挙した状況があるが、合理的な説明をしないとき。
  (二)本弁法の第十一条、第十二条、第十三条に列挙した状況のいずれがあるとき。
 (三)『仲裁人規則』に違反しているが、解任までに至らない程度であるとき。
 (四)本会の仲裁人業務学習などに参加せず、仲裁経験に欠け、かつ長期間仲裁事件を処理していないとき。
 (五)本弁法の第二条、第三条に規定する条件を備えておらず、仲裁人として適当でないその他の状況があるとき。

 第十五条

  仲裁人の任用期間内に、以下に掲げる状況の一つがある場合、本会はそれを解任する。
 (一)公開すべきである事実を隠蔽し、事態が重大であるとき。
 (二)正当な理由なく、開廷審理に参加しないとき。
 (三)当事者からの接待、贈品、又は提供されたその他の利益を受けたとき。
 (四)仲裁人としての独立、公正な立場に違反し、以下に掲げる状況の一つがあり、事態が重大であるとき。
  1、 理由をつけて事件の処理を遅延させるとき。
  2、 理由の説明を拒否し、一方の当事者に有利な判断意見に固執する、又は故意に事実及び法律を曲解し、一方の当事者の請求及び主張に決然たる態度で同意或いは反対するとき。
  3、 開廷審理中、公正の原則に違反し、一方の代わりに相手側に尋問したり、弁論したり、要求を提出したりするとき。
  4、 正当な理由なく、仲裁判断書にサインしないとき。
  5、 その他の一方の肩もち傾向のある行為があるとき。
 (五)当事者に自己の見解及び仲裁廷合議状況を漏洩するとき。
 (六)他者の代わりに事件の状況を問合せる、又は他者の代わりに仲裁廷メンバーに対し接待、贈品或いは有利になること及び利益を提供する行為があるとき。
 (七)審理を遅延させ、事態が重大であるとき。
 (八)故意又は重過失により、当事者及び本会の利益に損失を与えたとき。
 (九)『仲裁人規則』、『若干規定』及び本弁法のその他の規定に違反し、事態が重大であるとき。
 (十)本弁法の第十四条に規定する状況の一つがあり、事態が重大であるとき。
 (十一)私利のために不正な行為をし、法をまげて判断をしたとき。

 第十六条

  本会は解任する仲裁人に対して、書面にて通告、かつ理由を説明する。
  仲裁人が引き続き任用されず、その任用期間に担当した事件が未だ終了していない場合、引き続き判断をするまで審理することができる。但し、本人が引き続き審理することを希望しない場合を除く。仲裁人が解任された場合、引き続き事件を審理してはならない。、但し、双方の当事者が当該仲裁人が引き続き審理することに同意した場合を除く。

 第十七条

  本弁法は2006年9月1日より施行する。


 
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